イギリス宇宙局(UKSA)は、軌道上に存在しているスペースデブリの監視や追跡をするための方法について、民間からの斬新なアイデアを募集しています。
現在地球の軌道上には1cmを超えるオブジェクトが90万個近く飛んでおり、それらは運用中の衛星に大きなダメージを与える潜在的な脅威となっています。
UKSAの宇宙監視および追跡部門の責任者であるジェイコブ・ギア氏は、今回の募集について、特に低軌道にある物体の感知や追跡の方法を求めているとし、「すでに存在しているデータを、人工知能と機械学習を利用して、より有効に活用できる企業をサポートしたい」と述べました。
有力なアイデアには100万ポンドの助成金が支給されます。
(低軌道は地球表面から2,000km以下の領域)
イギリスは宇宙監視の分野で長い歴史を持っており、たとえばノース・ヨークシャーにあるフィリングデール空軍基地は、50年以上にわたって宇宙を飛び交う物体を追跡してきました。
しかし近年、低軌道の混雑によりスペースデブリの正確な監視が難しくなっています。
衛星にスペースデブリが近づいても、システムが警告を出さなかったり間違ったりするケースも増えています。
軌道上のスペースデブリのイメージ ⒸESA
宇宙監視の分野は成長が見込まれており、アナリストは2035年までに1億ポンドを超える国際市場になると予想しています。
UKSAはイギリスの企業がこの分野に参入し、また他の事業者がイギリスを拠点に活動することを望んでいます。
イギリスは欧州宇宙機関(ESA)の閣僚理事会で、国の優先事項として宇宙安全を挙げ、この分野に多くの資金を費やすと表明しています。
またスイスが主導し、2025年の打ち上げを目指しているスペースデブリ回収ミッション「ClearSpace-1」や、日本の企業Astroscaleのスペースデブリ回収事業にも関与しています。
どれだけの数の人工物が地球の周りを飛んでるんだろう?
ESAによると、1cm以下の物体だけでも1億2,800万個飛んでるそうだぞ
References: BBC