NASAは人類を再び月に向かわせる「アルテミス」と呼ばれるプログラムを進めています。
アルテミス計画では、将来の火星探査の足掛かりとするために、段階的にロケットを月に送り月面の調査を行う予定です。
第一弾となる「アルテミスⅠ」は、2020年中の月面無人調査を計画しており、スペースシャトルの後継機「オリオン」が、複数の観測機器と共に月に向かうことになっています。
積み込まれる13の機器のうちの一つには、「ルナ・フラッシュライト (Lunar Flashlight)」と呼ばれる小型衛星があります。
ルナ・フラッシュライトは、宇宙飛行士の月での滞在を可能にするために、月の表面に存在する氷や水の成分を探し出します。
月の南極で水を探すルナ・フラッシュライト
クレーターにレーザーをあてるルナ・フラッシュライトのイメージ図 (Image credit: NASA/JPL-Caltech)
キューブサット(CubeSat)と呼ばれるブリーフケースほどの大きさの小型衛星に分類されるルナ・フラッシュライトは、2カ月のミッションの間、月の南極のクレーターを調査します。
搭載されたレーザーは、水に容易に吸収される近赤外線を使っており、地表からの反射率によって水分の有無を特定することができます。
月の北極と南極にあるクレーターには、太陽の光が照らされていない部分(永久影)があり、そこには数十億年にわたって蓄積されてきた水の分子が存在していると考えられています。
月で水分を得られれば、宇宙飛行士の飲み水やロケットの燃料として使うことができます。
NASAのゴダード宇宙飛行センターのルナ・フラッシュライトの主任研究員バーバラ・コーエン氏は、「月面の寒くて暗いクレーターの中に氷があることはわかっているが、以前の測定結果は少し曖昧なものだった」と過去の研究に触れたうえで、「科学的にはそれで十分だが、実際に宇宙飛行士を派遣し水を飲もうとするならば、それが存在することを確認しなければならない」と話しています。
ルナ・フラッシュライトの観測範囲は月の表面部分のみであり、その下の地層にさらなる氷が存在しているかまでは判別することができません。
しかしこのミッションは、将来の月面探査にとって重要な情報を提供します。
コーエン氏は、「ルナ・フラッシュライトのデータと、他の月周回ミッションで得られたデータを比較することで、地表の氷の全体的な分布が把握できる」と述べ、またプロジェクトマネージャーであるジョン・ベイカー氏は、「ルナ・フラッシュライトのような低コストの技術実証ミッションは、私たちの知識のギャップを埋めるだけでなく、月での長期滞在に向けてより良い準備をするのにも役立つ」と話しています。
アルテミス計画は2024年に宇宙飛行士を月に向かわせる予定で、2020年のアルテミスⅠを皮切りに、持続可能な月面探査の確立を目標としています。
アルテミス計画を通して得た知識と経験は、将来の火星への有人探査に生かされます。
月で水が見つかれば宇宙飛行士の長期滞在も夢じゃなくなるね
2024年の有人ミッションが楽しみだな
References: NASA