シマウマの模様はなぜ白黒なのでしょうか。
全ての生き物が適応という形で進化してきたならば、この白黒模様にも生き残りに役立つ何らかの意味があるはずです。
そう考えたハンガリーの研究者は、シマウマのダミーを使って興味深い実験を行っています。
シマウマの白黒模様には虫刺されを防ぐ効果がある
ハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学の研究者チームは、長年議論されてきたシマウマのストライプの理由について結論を出すべく、シマウマに似せたマネキンを使って実験を行いました。
チームはシマウマのいる牧草地に複数のマネキンを置き、周囲を飛び交う吸血性の虫(アブ)の攻撃性を調べました。
マネキンは、「着色してないもの」、「全身が黒いもの」、「シマウマと同じ白と黒のストライプのもの」の3種類が用意され、それぞれのボディには、虫を捕獲するための接着剤が塗られました。
マネキンは4週間放置された後に回収され、研究者が体に付着した虫の数を記録していきました。
最終的に最もアブが付着していたのは黒いマネキンでした。
一方最も虫が寄り付かなかったのは、現実のシマウマと同じ白と黒のストライプでした。
両者のアブの数には、10倍以上の開きがありました。
これはシマウマの白黒模様が、偶然そうなったわけではなく、進化による適応の結果であることを示唆しています。
研究者は実験の結果から、「シマウマの縞模様には、アブの攻撃性を低下させる効果がある」と結論づけています。
スウェーデンのルンド大学の動物学教授であるスザンヌ・オーケソン氏は、「シマウマにとってアブのような虫からの攻撃を避けることは、病気や感染症にかからないために重要である」と指摘しています。
そしてストライプが虫を遠ざけるという事実は、特定の部族がボディペインティングの文化を取り入れている理由でもあると説明し、今回の結果は、現代人が着る服にも影響を与える可能性があると付け加えました。
オーケソン氏は虫よけになる服の柄について、「白かベージュのような明るい色」を推奨し、逆に黒や暗い色は避けるべきだとしています。
またアブやハエなどが卵を産む水場に似ていることから、キラキラした反射材を使った服も避けたほうがよいと述べています。
研究結果はRoyal Society Open Scienceに掲載されました。
白黒なのは単なる偶然じゃなかったのか……
他の動物の模様にもいろんな効果があるのかも
Reference: CNN