南アフリカでホホジロザメを調査しているグループは、3000件以上の目撃データを分析した結果、若い個体が一定の海域に留まる傾向にあることを発見しました。
ホホジロザメは世界中の温帯および亜熱帯の海域に分布し、また長距離を移動するサメですが、個体ごとの海域の好みについてはよくわかっていません。
ホホジロザメは昼行性でビーチの近くにも出没するため、被害を減らす対策をたてるには、生態への理解が不可欠です。
新しい研究は、ホホジロザメが、成長段階に応じて餌場を選んでいることを明らかにしています。
若いホホジロザメは特定の海域で狩りを学んでいる
英国ノッティンガム・トレント大学の生物学者チームは、ホホジロザメの年齢による生態の違いを理解するため、南アフリカ南端の港町モッセルベイで目撃情報を集めました。
南アフリカ南端や西岸の海域はホホジロザメの主要な生息地の一つで、観察時期によって様々なタイプの個体が見られます。
データは檻の中からサメを観察するケージダイビングからのもので、2009年から2013年までの期間中、計3064匹のホホジロザメが確認されました。
研究者はサメの性別と大きさを、目撃された時期と海水温で分類していきました。
ホホジロザメを観察するケージダイビング (Elias Levy/CC BY 2.0)
分析の結果、目撃されたホホジロザメの大きさは1.1メートルから4メートルまでで、このうちの56.9%がメス、6.9%がオス、それ以外は性的に未成熟な幼体であることがわかりました。
全体の81.1%は若い個体で、残りは大人になる前の亜成体に分類されるサメでした。
また性別と季節には有意な相関性があり、小型のオスは夏、小型のメスは秋、大型のメスは冬、そして性別不明の個体は一年を通して確認されました。
この海域には、サメの餌となる生き物が豊富に生息しており、特に冬になると捕食しやすい小さなアザラシが多く見られます。
しかし期間中、4メートル以上の大人のサメは1匹も現れませんでした。
餌が豊富であるにもかかわらず大人のサメがいないという結果は、この海域が、若いホホジロザメのための成長の場所であることを示しています。
研究を行ったノッティンガム・トレント大学のニコラス・レイ博士は、「ホホジロザメには社会的学習能力があることがわかっています。この場所は幼体の数が多いことから、ホホジロザメの保育所、あるいは比較的安全に狩りを学べる訓練場として利用されていると考えられます」と述べています。
分析ではホホジロザメの個体数が、海水温と透明度に左右されることも明らかになっています。
最も多くのサメが現れるのは、海水温が16℃から18℃、海面から光の届く距離が5メートルの日でした。
また統計的に有意ではないものの、空に雲が多い日は、サメの数が減る傾向にありました。
こうした情報は、サメに関連する事故を減少させるだけでなく、ホホジロザメを誤った知識による駆除から救うことにもつながります。
レイ博士は、「今回の発見は、ホホジロザメが様々な成長段階で使用している、特定の生息地の保護に役立ちます。また絶滅の危機に瀕している脆弱な種を支援するための、さらなる法律の制定にもつながる可能性があります」と述べています。
研究結果はEnvironmental Biology of Fishesに掲載されました。
南アフリカのホホジロザメは全体的に、オスよりメスの方が多いんだって
餌の取り合いにならないように、成長段階に応じて住む場所を変えてるのかもしれないね
Reference: Sky News