国連は2010年代が観測史上最も暑かった10年であると発表しました。
国連の機関の一つ世界気象機関(World Meteorological Organization-WMO)は最新のレポートの中で、過去10年が記録上最も暑かった年代であり、その傾向が2020年代にも引き継がれた場合、極端な気象現象が起こるだろうと警告しました。
また2019年が2016年に次いで過去2番目に暑かった年であったことも併せて報告しています。
WMOはNASAなどの主要な国際機関のデータに基づいた分析から、地球の気温の上昇が、「氷の後退、海面の上昇、海水温の上昇と酸性化、異常気象」などの悲惨な結果をもたらしていると結論づけています。
WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、「残念なことに2020年から今後数十年間は、記録的な温室効果ガスの大気中濃度により、極端な天候になると予想される」と述べ、また昨年末から猛威を振るい続けているオーストラリアでの森林火災について触れ、2019年の終わりから始まった影響の大きい気象イベントが2020年代にも続くとの見方を示しました。
気温の上昇トレンドは人為的なものであり今後も続く可能性が高い
近代的な記録が行われるようになった1850年代以降、地球の平均気温は約1.1度上昇しました。
国連は2019年、気温の上昇を1.5度に抑えるためには、人為的な温室効果ガスの排出量を2030年までに毎年7.6%削減する必要があるとする試算をまとめています。
しかしこの目標が仮に達成されたとしても、今世紀の後半には今以上の温暖化が進むと予測されています。
ターラス事務局長は、「現在の二酸化炭素の排出量では、今世紀末に3~5度の気温上昇が起こる」と述べ、将来の温暖化の到来に危機感を募らせました。
気温の上昇データについては観測地点や測定方法によって誤差が生じる場合があります。
国連に情報を提供したNASAのゴダード宇宙科学研究所は、複数の観測データを平均化した結果、気温の上昇傾向が確かなものであり、またそれが人為的なものであることを確認しています。
ゴダード宇宙科学研究所のギャビン・シュミット所長は、「気温の上昇は持続的であり、何らかの気象現象による偶然ではない」と述べ、長期的な上昇トレンドは大気中の温室効果ガスの増加によって引き起こされていると指摘しました。
複数の主要な機関からの気温上昇データ。2010年代は最も暑い10年 Credits: NASA GISS/Gavin Schmidt
気温の上昇は北極や南極の氷も解かしています。
米国海洋大気庁は、2019年の北極海と南極海の氷の総面積が1979年以降2番目に狭かったと報告し、極地での海氷面積の減少傾向は今後も続くだろうと警告しました。
WMOは2019年の海水温が記録的に上昇したことを報告しています。
データは海水温の上昇がここ5年間で最も高いことを示しました。
温暖化の速度や度合いを定量化することは難しい作業ですが、海水温を調べることはそれを容易にします。
海は過剰に産出された熱の90%以上を蓄えているため、継続的な海水温の調査は、温暖化の進み具合を知る有効な方法になります。
国連の発表は環境保護主義者にとっては予想の範囲内でした。
国連の発表について、WWF(世界自然保護基金)のマヌエル・プルガル-ビダル氏は、「2019年が観測史上2番目に暑い年だったとしても驚かない」と述べています。
ビダル氏は、「自然は人類にペースを上げなければならないことをしつこいくらいに思い出させてきた」と話し、温暖化を止めるための対策がこれまでも必要であったことを指摘しました。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのグランサム気候変動・環境研究所のボブ・ウォード氏は、「現在世界中で起きている温暖化による影響を見ると、気候システムへの人為的干渉の防止に成功していないことは明らかである」と話しています。
2019 Was the 2nd-Hottest Year on Record

1980年代以降の各年代は全部前の年代よりも気温が上昇しているんだって

ここ最近の気温は既に“異常”ではなく“正常”になってきている感じがするな